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佐々木 美雪; 眞田 幸尚
Journal of Advanced Simulation in Science and Engineering (Internet), 9(1), p.30 - 39, 2022/01
本研究は人工ニューラルネットワークを使用して作成した空間線量率マップの妥当性の評価結果を示している。本研究における人工ニューラルネットワークは、入力変数に上空における放射線計数率,測定高度,測定エリアの地形データ、及び写真の色データを使用し、目的変数に地上で測定した空間線量率測定データを用いてネットワークが構築されている。上空における放射線測定値を人工ニューラルネットワークを使用して換算した線量率マップは、従来の換算方法に比べ地上測定値に近いマップを作成できることが知られている。本研究では写真測量システムを使用して得られたカラーデータを入力変数として新たに採用し、人工ニューラルネットワークによる上空測定値の換算への適用及び評価を行った。
越智 康太郎; 佐々木 美雪; 石田 睦司*; 濱本 昌一郎*; 西村 拓*; 眞田 幸尚
International Journal of Environmental Research and Public Health, 14(8), p.926_1 - 926_14, 2017/08
被引用回数:4 パーセンタイル:22.46(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故後、環境中の放射性セシウムの挙動を把握するために土壌中放射性セシウムの深度分布が調査されてきた。一般的な放射性セシウムの深度分布の測定手法は、土壌試料の採取及び放射能測定といった観点から煩雑である。本研究では、我々は無人ヘリコプターを用いた上空からの放射線計測により得られた線スペクトルの特徴に着目することで、放射性セシウムの深度分布の推定手法を確立した。本手法は、放射性セシウムの深度分布を定量的に評価するために、様々な深さにおける散乱線に対する直接線の比の変動に着目した。結果から、前述の遠隔測定の結果と実際の土壌中放射性セシウムの深度分布との間に正の相関があることが分かった。
志風 義明; 西澤 幸康; 眞田 幸尚; 鳥居 建男; Jiang, J.*; 島添 健次*; 高橋 浩之*; 吉野 将生*; 伊藤 繁樹*; 遠藤 貴範*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 53(12), p.1907 - 1918, 2016/12
被引用回数:37 パーセンタイル:96.39(Nuclear Science & Technology)無人ヘリ搭載用に軽量・低消費電力のコンプトンカメラ方式のガンマカメラを開発した。検出器に関して、散乱体・吸収体の各層のGAGGシンチレータ・アレイの44から88への増加、及び、2層間の距離の拡張により、それぞれ、検出効率と角度分解能が改善した。改良したコンプトンカメラを用いた測定を福島県浪江町の請戸川河川敷で実施した。飛行経路と速度のプログラミングが可能な無人ヘリの機能を用いて、6560mの範囲を5mの測線間隔の13測線で、及び、65180mの範囲を10mの測線間隔の19測線で、高度10m・速度1m/sにて櫛形に往復させながら、それぞれ、20分間と30分間で測定した。測定データと校正用データの解析により、地上1m高さでの空間線量率分布マップが、高度10mから約10mの位置分解能に相当する角度分解能にて精度よく得られた。また、ホバリングフライトでは、ホットスポット上で高度5-20mで10-20分間程度測定を行った。再構成ソフトの使用後に検出効率の補正や線量換算を経て、ホットスポットを含む線の画像を得た。再構成線画像の角度分解能は測定位置をシフトさせた結果の比較より、室内実験での性能(約10度)と同程度であることを確認した。
卜部 嘉; 西原 克哉; 佐藤 義治; 石橋 聖; 眞田 幸尚; 鳥居 建男
no journal, ,
無人ヘリコプターを用いて、発電所から5km圏内の放射線モニタリングを2012年8月から2014年3月まで4回実施し、空間線量率、及び放射性セシウム沈着量の分布状況のマップを作成してきた。本発表では、福島第一原子力発電所近傍における放射性セシウムの詳細な分布状況と変化傾向について報告する。
西澤 幸康; 吉田 真美; 眞田 幸尚; 鳥居 建男
no journal, ,
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に起因して福島第一原子力発電所事故が発生し、大気中に多量の放射性物質が放出された。比較的半減期の長いCsやCsの他にもI, Te等の多数の短半減期核種が放出された。発電所1-3号機からの核種毎の推定放出量が報告されているが、これらの短半減期核種は放出源である原子炉により大きく異なることが知られている。また、CsとCsの放射能比も発電所によりでわずかに異なることから、Cs/Cs比は放射性物質の放出原子炉を特定するための貴重な情報源が得られると考えられる。原子力機構では放射性セシウムの放出源に近い発電所から3km圏内においてLaBr(Ce)検出器を搭載した無人ヘリコプターを用いて、上空から高分解能の線スペクトルを測定した。LaBr(Ce)検出器はエネルギー分解能(FWHM)が優れていることから、多くの核種の弁別が可能である。また、無人ヘリコプターによる面的な測定により得られたデータ数が極めて多い。本発表では、無人ヘリコプターの測定データをスペクトル解析することで新たに明らかとなった放射性セシウム比率の分布を報告する。
西澤 幸康; 吉田 真美*; 眞田 幸尚; 鳥居 建男
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故によって環境中に放出された放射性セシウムのCs-134とCs-137の放射能比はほぼ一定とみられてきたが、場所によってわずかながら異なることが報告されている。原子力機構が実施した無人ヘリコプターにより得られた線スペクトルのデータを用いて原子力発電所近傍のCs-134/Cs-137比を解析した。その結果、原子力発電所周辺のCs-134/Cs-137比の分布が明らかとなり、放出源となる原子炉を明らかにする上で貴重なデータが得られた。
吉村 和也; 斎藤 公明; 藤原 健壮; 中間 茂雄; 三上 智
no journal, ,
帰還困難区域内の市街環境における空間線量率、およびセシウム-137沈着量の平面分布を評価するため、無人ヘリコプターサーベイ、およびKURAMA-IIシステムによる歩行サーベイを大熊町、および富岡町にて実施した。得られた結果から、市街環境における空間線量率、およびセシウム-137沈着量をマッピングした。
越智 康太郎; Malins, A.; 石田 睦司*; 山田 勉*; 中曽根 孝政*; 眞田 幸尚
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故後、土壌中放射性セシウムは時間経過と共に下方に浸透している状況が報告されている。また、野生動物による土壌攪乱、除染などの人間活動、降雨量や土壌の密度によって、深度分布は場所ごとに異なる。現在、地上で行われている放射線測定では、基本的に空間線量率の測定にとどまっており、その場の放射性セシウムのインベントリーを求めるには、土壌のサンプルを実験室で測定するか、土壌の深度分布を表すパラメータ(実効的重量緩衝深度effを仮定し空間線量率を推定するしかなかった。本研究では、場所ごとの深度分布特性を加味した広域の放射線セシウムのインベントリー評価を目的とし、無人ヘリコプターを用いた空中放射線計測技術により得られた線スペクトルの特徴と、その直下の土壌中放射性セシウムの深度分布を比較した。
佐々木 美雪; 眞田 幸尚; 山本 章夫*
no journal, ,
従来、上空で測定されたガンマ線計数率を地上1m高さにおける空間線量率の値に換算するには、対地高度とガンマ線計数率の関係と、ガンマ線計数率と地上における空間線量率との比較から得られる係数を用いることで地上1m空間線量率へと換算する。本方法は、地形が平面で線源が均一に分布したモデルを基本とした換算手法であり、地形の凹凸や樹木等の遮蔽物を考慮していない。そこで、地形の凹凸等を考慮した換算手法の1つとして、逆問題解析を使用した換算手法の研究開発を発表者は進めてきた。しかし逆問題解析による換算は測定点や測定エリアの増加に伴い、長時間の解析時間が必要となるため、結果が即座に得られないという課題があった。そこで、これまで取得したビックデータを元に、機械学習を用いた換算技術の研究開発に着手した。様々な体系における放射線測定データを蓄積し、そのデータをもとに学習させ換算式を作成することで、逆問題解析に比べより簡便に換算対象ポイントにおける空間線量率等の算出が可能と考えられる。本発表では機械学習の学習データの検討及び、福島県内で測定したデータセットに対する適用結果について述べる。
志風 義明
no journal, ,
無人ヘリ搭載コンプトンカメラを開発してこれまで福島県の高線量率地域にて測定試験を行ってきた。自律航行型無人ヘリ特有の動き等を把握してホットスポットの検出精度を向上させるために、今回、姿勢角センサー,レーザー距離計,温度センサー,小型カメラ、及び、飛行時の位置と計数率を地図上でリアルタイムにモニタできるソフトウェアをコンプトンカメラシステムに追加装備した。それらによるホットスポット検出精度の向上を確認するため、福島県大熊町の野外にて測定を行った。事前の地上値測定で判明したホットスポットを含むエリアを櫛形に飛行する測線フライト、及び、ホットスポット付近の上空の定位置でガンマ線画像撮影を行うホバリングフライトを行った。データ解析では、測線フライトとホバリングフライトの両データから空間線量率分布が得られた。特にホバリングフライトでは、無人ヘリの姿勢角の制限を課したデータ選択による改善、及び、無人ヘリの安定性の良い時間帯のデータ選択による改善、を実施した。その結果、地上測定値との相関の改善やホットスポット位置の検出精度の改善を確認できた。
Joung, S.*; Ji, Y.-Y.*; Choi, Y.*; Lee, E.*; Ji, W.*; 佐々木 美雪; 越智 康太郎; 眞田 幸尚
no journal, ,
韓国原子力研究院は、汚染地域での利用を目的に無人航空機に搭載する上空からの測定システム「MARK A1」を開発した。MARK A1システムは、CZT検出器、信号処理ユニット、地上のPCへの測位・インターフェースユニットで構成されている。検出器の有効性を検証するために、福島第一原子力発電所付近の高線量率環境下でフィールドテストを実施した。日本原子力研究開発機構と韓国原子力研究院の検出器をそれぞれ、無人ヘリコプターに搭載し、異なる高度で測定を行った。両システムとも上空からの測定で得られた空間線量率は、歩行サーベイで得られた空間線量率と同様の傾向の結果を得ることができた。そのため、MARK A1は原子力事故発生時に人間が立ち入ることが困難な広大で高濃度の汚染された地域を、迅速にスキャンするために使用できることが期待されている。